ついやってしまいがちな『犬の間違った叱り方』
犬のしつけにおいて、「叱り方」はとても大切です。しかし、正しい叱り方を知っている飼い主さんは、意外と少ないのが現実です。ここでは、飼い主さんがついついやってしまいがちな、「間違った叱り方」について書いていきます。
叱る時に、名前を呼ぶ
犬を叱る時、名前を呼んではいけません。犬の名前を呼ぶ時は、褒める時だけにします。なぜなら、それによって犬は「名前を呼ばれた時は、確実に褒めてもらえる」と思い、名前を呼ばれることを喜ぶようになるからです。
これによって、例えば万が一リードが外れてしまい犬が遠くに行ってしまった時も、名前を呼んだら戻ってきてくれる可能性が高くなります。褒めてもらえると思うからです。逆に日頃叱る時に名前を呼んでいると、こうした時に戻って来てくれません。犬は人間が思っている以上に、自分の名前に過敏に反応する生き物なので、そのことをよく意識しておきましょう。
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では、名前を呼ばないでどうやって叱るのか?これは「ダメ」「イケナイ」などの言葉を使えば大丈夫です。これに「叱る口調の声&表情」をしっかりつければ、それで十分伝わります。
とは言っても、最初のうちはついつい名前を呼んでしまうものでしょう。もし叱る時に名前を呼んでしまったら、とりあえずは撫でてあげます。そして、その後に犬が犯した間違いを指さし、表情と口調を厳しくし「これはダメ」ということをはっきり伝えましょう。こうしたフォローをすることで「名前を呼ばれたら可愛がってもらえる」「でも、今したことは間違っていたらしい」ということは植え付けることが出来るからです。
自分の失敗なのに叱る
これは思いの他、よくやってしまうことです。具体的に言うと、例えば子犬を室内で飼っている時に、子犬の行動範囲に壊れると困るものを置いておく、などです。子犬が何かをかじって壊してしまったというなら叱ってもいいですが、尻尾を振って、それがぶつかって何かが落ちてしまった、というようなケースは明らかに不可抗力で、そこに物を置いていた飼い主の責任です。
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しかし、こうした時にも人はついつい、犬を叱ってしまうものです。すぐに自分の間違いだと気づける人でも、犬が壊した瞬間にはつい「コラ!」と言ってしまうものです。その一瞬のことを、犬はよく覚えています。
犬が尻尾を振るのは喜んでいる時ですが、それをしただけで叱られると思うと、犬はそれから先、何か嬉しいことがあっても素直に喜べなくなります。「周りに壊れるものがないかどうか?」と確認してから喜んで尻尾を振る、などという賢い芸当はほとんどの犬には出来ないですし、する必要もないでしょう。こうしたトラウマを植えつけないように「犬がトラブルを起こさないよう、自分の側が注意する」ということを忘れないようにしましょう。
犬の能力以上のことをやらせる
まだ犬が覚えていないことを、出来なかったからと言って叱るケースが多々あります。例えば、まだ「オイデ(呼び戻し)」を覚えていない犬のリードを間違って手放してしまった時、「おいで!」といくら呼んでも、犬は戻ってきません。
まず犬には「自分だけで散歩してはいけない」という知識がないですし「おいで」という言葉の意味もわかりません。人間(の大人)にとっては常識であることも、犬にとっては常識ではないのです。なので、この状況で犬が戻ってこないのは、犬がダメなのではなく「犬の能力以上のことをやらせている」ということなのです。
それにも関わらず、戻ってこなかった犬に腹を立て、数時間後に戻ってきた時、犬を叱りつけるということがよくあります。それも、ご近所の人に「あの家は犬をちゃんとしつけていない」と思われるのを恐れるあまり、ご近所にも聴こえるような大声で叱って叩く、ということさえあります。
これが犬にとっていかに理不尽な状況であるか、客観的に見ていただければ、よくわかるかと思います。犬には「現時点の能力(知識)」というものがあり、それを超えることを期待してはいけないのです。犬の現時点の能力をしっかりと把握し、それを大きく超えるようなしつけを無理にしないようにしましょう。
他にも飼い主さんが間違ってしまいがちな叱り方は沢山ありますが、一度知識さえ仕入れれば問題のないことですので、あまり過敏にならず気軽に学んでいただければと思います。何より、犬への愛情があれば、最終的にはうまくいくものです。
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