どこでも舐める犬の気持ちとしつけ
土や人間の手足など、どこでも舐めまわして困るという犬のケースがたまに聞かれます。
この一番大きな原因は「塩分不足」です。これについて詳しく説明します。
塩分は犬が生きていく上でも欠かせない
犬に塩分は体に悪いといって避けている飼い主さんが多いと思います。
実際、ドッグフードの売れ行きがいいものでも、塩分無添加と書かれていることが多いようです。
確かに現代の飼い犬のほとんどは運動不足で塩分過多になりがちですし、肥満にもなりがちなので、こうした選択は間違っていません。
ただ、同時に人間や犬などの動物が生きていく上で、一定量以上の塩分は必ず必要だということも意識する必要があります。
塩分がなぜ重要かというと、体の中の浸透圧を保つ働きがあるからです。
理科の授業で習ったと思いますが、水分がある場所には必ず浸透圧というものがあります。
これは「塩分の少ない場所から多い場所へ水分が移動する働き」ですが、この浸透圧を一定に保つためには、塩分の量が一定である必要があるのです。
なので、塩分は多すぎても少なすぎてもいけないのです。
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犬はなぜ土や人間の手足を舐めるのか
上のように塩分が必要なのに十分に摂取できていない犬は、何かを舐めることによって塩分を補給しようと考えます。
真っ先に舐めるのは土です。土の中には岩塩ほどではなくても少量の塩分が含まれていることもあり、これを目当てに舐めるということをしているのです。
正確にいうと塩分がなかったとしても、土の中のナトリウムさえ舐めることができればいいわけですが、とにかくそれを目当てに土を舐めているわけです。
そして、人間の手足を舐めるという場合も同じです。
一見甘えているように見えますが、実は人間の汗に含まれている塩分を少しでも吸収しようとしているわけです。
ただ、夏などでたくさん汗をかいていれば別ですが、そうでなければ人間の皮膚をなめたところで塩分はさほど得られないので、これでもやはり犬の塩分不足は解消できないということになります。
犬の塩分量はどこで判断するべきか
実際に犬の塩分量が足りているかどうかですが、これを判断する場所は、エサが手作りかドッグフードかによっても違います。
ドッグフードの場合は成分表示が必ずされているので簡単にわかりますが、手作りの場合は自分で計算をしなければならないので、少し厄介です計算の仕方自体は人間がダイエットをする時と同じです。
食品成分表を見ながら計算するようにしましょう。
最近では犬の食事を手作りしたいという飼い主さんのために、栄養成分表もついているレシピを公開しているサイトや教材も増えました。
書籍でもあります。なので、このようなお手本を利用しながら食事を作るようにすれば、塩分不足の問題も解消するでしょう。
ドッグフードについては、塩分無添加と書かれているものでなければ、後は「小型犬用」「中型犬用」という表記が適しているものであれば大丈夫です。
自分の犬のサイズから外れたものを買ってこない限りは、それで塩分もしっかりと計算されているので問題ありません。
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犬の適切な塩分摂取量は?
これには計算式があり、犬の体重1kg当たり50mgのナトリウムが理想的であると言われています。
ナトリウムと塩分は少し違います。ナトリウムで50mgということは、塩分に換算すると、0.12g程度になります。
なので、わかりやすく数字を変えると10kgの犬の場合は1.2gの塩分が毎日必要ということです。
体重5kgであれば0.6mgです。このデータを参考にして、自分の犬に与えているドッグフードがその適正量を満たしているかどうか、自分が作っている食事が適切であるかということをチェックするといいでしょう。
ナトリウム不足で起こる犬の症状は?
ナトリウムが不足した場合に犬に起こる症状は、あちこちを舐めまわす以外にもたくさんあります。
代表的なものとしては落ち着きがない、食欲がない、皮膚が乾燥する、嘔吐をする、体重が減る、脱毛症になる、血液量が低下する、常にダルそうにしている、などが挙げられます。
すべて一言で「体調不良」と片付けられてしまいそうなものですが、ナトリウムの不足だけでもこれだけ多彩な症状を引き起こしてしまうわけです。
このため、愛犬があちこちを舐めまわすようになったという場合には、まずはナトリウム不足を疑う必要があります。
しつけというよりも栄養の改善が必要なケースということができるでしょう。
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