犬がくわえた物を離さない時のしつけ
犬がくわえた物を離さないというのは、犬と遊んだことがある人であれば、誰でも経験しているでしょう。
犬用のおもちゃであればまだいいのですが、人間の大事なものをくわえて離さないというのは困ります。ここでは、それを手放すよう教えるしつけについて書きます。
犬が離さない理由は「執着心」
犬がこうした物を離さないのは、動物の本能です。というのは、自分が捕獲した獲物を離さずに確実に運ぶことが、彼らの生活の一部だからです。
なので、例えおもちゃであっても、手に入れたものは簡単に手放せないのです。つまり、犬がわがままなのではなく、これは最初から体に仕込まれているメカニズムなんだと理解し、まずは寛大な気持ちになることが大切です。
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その次に、いかにこの執着心をなくすかを考えます。人間でも同じですが、執着する理由は「もう手に入らない」と思うからです。
人間が一番執着するものは命ですが、極端な話死んでもいつでも生き返るとわかっていたら、死ぬことは怖くなくなるでしょう(あらゆる宗教で輪廻転生などを説いているのは、そのためでもあります)。
なので、犬にも「手放してもすぐ次のが手に入る」ということを教える必要があります。そのため、手放してほしいものがある時は、代わりに犬が欲しがりそうなものを用意します。
まるで人質交換のようですが、これは有効な手です。
犬が離そうとした時に「ちょうだい」と言う
犬が新しいおもちゃに興味を持ち、今くわえているものを離しかけた時に「ちょうだい」と声をかけます。1回だけでは犬も意味がわかりませんが、長期間それを繰り返しているうちに、「今自分がくわえているものを、離してほしい時に『ちょうだい』という」ということを学習します。
そして、犬の学習が出来た頃に、今度は新しいおもちゃを用意せずに「ちょうだい」と言ってみます。そこで犬が離したらすかさず褒めてあげ、ご褒美をあげます。これにより、犬には新しい遊びが出来ます。
犬はおもちゃを欲しがりますが、要はそれで遊びたい、褒めてもらいたいのであって、飼い主に褒めてもらえる遊びが見つかったなら、それをしたいと思うのです。
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つまり、この「ちょうだい」をうまくしつけることが出来ると、犬にとってそれは遊びになるということです。「ちょうだい」という種目のスポーツを教える、と言ってもいいでしょう。時間はかかりますが、これをしつけたらどんな物でも必ずすぐに離してくれます。そのほうが犬自身が楽しいからです。
やってはいけないこと
逆にやってはいけないことは、くわえているものを無理やり取ろうとすることです。これは多くの飼い主の方がやってしまうことでしょう。自分もよくやりました。
犬だって楽しい時間は欲しいですから、それを邪魔されたら飼い主とはいえ、不快な気分になります。まして何人か家族がいる家で、そこの末っ子などより自分の方が身分が上だと認識している犬の場合、なおさら離しません。(この身分認識はあらためさせなければならないのですが、割と多くの家で、犬がこういう意識を持ってしまっていることがあります)
そもそも、犬がこうして一人遊びをするのはとてもいいことです。ストレス解消になりますし、運動にもなりますし、一人で留守番をすることも平気になります。
犬が留守番をしてくれなくて困っている飼い主さんであれば、むしろ羨ましいくらいでしょう。
なので、くわえて離さないくらい夢中になれる物があること自体はいいことなのです。それをいかにして自然に手放してもらうかというのが、人間の知恵の見せ所です。
こうした犬の行動一つ一つについて、いい所を認めつつ、改善してほしいところを改善してもらう、というのが犬のしつけの本質なのです。
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