犬が人を噛むケース ~身を守るため~
犬が人に噛み付く理由はいくつかありますが、その中の1つに「身を守るため」というものがあります。
「別に攻撃してないし」と思われるかも知れませんが、人間にとってはかわいがっているつもりの行動が、犬にとっては攻撃と見えることもあります。
ここではそのような犬の性質について解説します。
犬には「パーソナル・スペース」が必要
「パーソナル・スペース」というのは、その人だけの空間、つまり「安心できる空間」のことです。
犬だけでなく人間もこれを持っていますが、この中に親しくない人間に入られると、犬も人間も抵抗を覚えるものです。
例えば飲食店などで「何で他の席空いてるのにここに座るの?」という状況で、誰かが隣に座ってきたら、大抵の人は違和感と不快感を覚えるでしょう。
これはパーソナル・スペースを侵略されたからです(もっとも、魅力的な異性などであれば話は別ですが)。
犬にもこのようなスペースが当然あり、その中に見知らぬ人間が入ってきたら、攻撃か逃避をするのが当然であるわけです。
そのどちらを取るかはその犬の性格にもよりますし、その時の状況にもよります。
あるいはこれまでに積んできた経験にもよるでしょう。
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例えば以前に逃げてうまくいった(無事だった)経験がある犬であれば、その経験を活かして逃げようとします。
同様に、噛むことによってうまくいった(相手が逃げた)経験がある場合、噛もうとします。また、リードがあって逃げられないという場合は、逃げるはずの犬でも噛んだりします。
このように、パーソナルスペースを侵略された時の犬の行動は、過去の経験やその時の状況によっても変わってきます。
臆病な犬ほどよく噛む
噛む犬は攻撃的と思われるかも知れませんが、実は臆病なのです。
怖いからこそ、相手を攻撃して自分の力をアピールしようとするのです。
どうにも人間と共通する哲学的な要素を含んでいますが、とにかく、獰猛だから噛むわけではありません。
臆病だから噛むということをまず意識する必要があります。つまり、犬が怖がらないように安心させてあげれば、犬が噛むことはないのです。
犬は基本的に全体の1割程度、生まれつき臆病に生まれてくると言われています。
性格は後天的に決まる部分も多いですが、先天的に決まる部分もあり、それが大体1割と言われています。
なぜ犬の中にこのような臆病なタイプがいるかというと、群れの中で生活する時、その群れにいち早く危険を知らせるために必要だったからです。
このために、他の犬よりも恐怖心と警戒心を生まれつき強く持つよう、犬という種が無意識に遺伝子操作のようなものを行った結果と言えます。
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なので、このように犬が臆病であることは、決して悪いことではないのです。
これがもし人間社会でなく犬の社会であったなら、その犬は危機を察知する重要な役割を担っていたはずなのです。
なので、それをまず認めてあげて、決して怖がりであることを否定的に見ないようにしましょう。
犬を徐々に「社会化」させる
犬のしつけには「社会化」という言葉があります。
これは、自分だけの世界で生きるのでなく、群れや人間社会でのルールに適応することを指しています。
仔犬から成犬になるまでの期間を社会化期といい、この期間にどのような教育、しつけを受けたかによって、その犬の社会性が決まります。
この時期にたっぷり人間から愛情を受けて育った犬は、無事に社会化をすることが出来ます。
参考記事:犬の社会化のしつけのポイント
反面、エサをちゃんともらえなかったり、散歩に連れていってもらえなかったり、飼い主も含めて人間に対する不信感が募るようなことが多々あると、社会化が阻まれる要因となります。
なので、くれぐれも仔犬時代に犬の散歩や餌やりを怠ったり、過度に厳しいしつけをしたりしないようにしましょう。もちろん虐待などはもっての他です。
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