犬が噛み付きをした時、叱ってはいけない理由
犬の噛み付きを辞めさせるために「叱るだけ」で終わってしまっている飼い主さんは沢山居ますが、これは逆効果になることもあります。
ここではその理由を解説します。
犬は「何で叱られたのか」がわからない
例えば犬が下のようなシチュエーションで噛み付きをしたとします。
・相手はAさん
・うなってから噛み付いた
・直後に飼い主が叱った
ここで飼い主が想像するのは「叱ることによって、噛み付きはいけない、と学習してくれる」ということです。
しかし、実際には犬は違うことを学習する可能性があります。それは下のようなパターンです。
・Aさんを噛んではいけない
→BさんやCさんならいい。
・うなってから噛んではいけない
→うならずに突然噛むならいい。
・人間を噛んではいけない
→ただの物体ならいい。なので家具などに噛み付きまくる。
・飼い主=怖い人である
→この場合、飼い主を避けるようになります。
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まるで何かの頭脳ゲームのようですが、実際、犬が考えることとして、このようなパターンが存在するわけです。
犬は人間の言葉がわからないですし、人間の世界の常識も持っていないわけですから、飼い主が「多分こう理解してくれるだろう」と思っていることとは、まったく別の理解をする方がむしろ普通なのです。
個別のケースが具体的にどうなるか
例えば「Aさんだからいけない」と学習した犬は、他の人には相変わらず噛み付くようになります。
それと同時にAさんのことは避けるようになります。
「うなってから噛んではいけない」と学習すると、より危険です。突然噛み付く場合、飼い主が事前に察知することが難しくなるので、噛み付きを食い止めるのがよけい困難になります。
「人間を噛んではいけない」はだいぶ正解に近いのですが、そのフラストレーションが家具などの物に向かうことで、そちらの方面での被害がより大きくなります。
また、ここで「家具もダメ」という風に叱ると、一応それも学習するのですが、噛み付く原因がフラストレーションである場合、ストレスの行き場をなくしてしまうため、かえって悪化します。(なので、噛み付きの原因がフラストレーションの場合は、まずそのストレスの原因を除去する必要があります。)
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そして、最後の「飼い主=怖い人」というのは、一番やっかいな理解です。
つまり、犬は噛み付くことをまったく悪いと思っていないので(犬の習性を考えるとそれは自然です)、「何も悪いことをしていないのに叩かれた」→「この飼い主は、よくわからない怖い人だ」という風になってしまうわけです。
こうなると、全ての局面においてその後避けられてしまうため、噛み付きを防ぐ他のトレーニングもしにくくなってしまいます。
なので、これが一番こわい誤解であると言えます。
叱らないためにはどうすればいいのか
しかし、実際に噛み付いたらやはり叱らざるを得ず、ここはプロでも本当に難しいところです。
とりあえず、最悪のケースである「飼い主=怖い人」という誤解は、日頃からコミュニケーションをしっかりとっていることで防ぐことが出来ます。
それ以外のことについては、フラストレーションが原因になっている場合は、そのフラストレーションを取り除くことで防げます。
なので「物に噛み付くようになる」というケースも予防することが出来ます。
それ以外のケースについては、出来るだけそのような状況に遭遇しないようにすることです。
つまり、まだ人間に慣れていない犬を急に人混みに連れ出さないなど、極力そのようなケースを「避ける」ことが重要です。
避けながら徐々に犬が大人になり、社会化していくうちに、自然と避けなくても大丈夫になっていきます。
これにはかなりの時間と労力が必要になりますが、しつけとか教育というのはそういうものなので、気長に待つようにしましょう。
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