犬が興奮して吠える場合のしつけ
犬が興奮して吠える場合のしつけは、「何に対して吠えているのか」で全く変わってきます。
というのは、対象によっては「犬の本能として仕方のないもの」「しつけ次第で改善できるもの」が変わってくるからです。
犬の本能として吠えてしまうもの
例えば「さおだけ屋の声」「選挙カーの声」「街宣車の声」など、町中を移動しながら大きな音を出しているスピーカーの声に対しては、犬は必ず吠えてしまいます。(まれに吠えない犬もいますが)
このような音に対して犬が吠える理由は、外敵に対する備えです。
自然界では、このように遠くから大きな音で、生物の声が聞こえてくるということはまずありません。
あるとしたら、相当な大群でその動物たちが押し寄せてきているということです。つまり、完全な非常事態です。
「そんな展開があるわけないじゃん」と思うのは、人間の常識です。
人間だって赤ん坊の頃は、ああした音の正体がわからず、しばしば泣きわめいていたはずです。
「自然界にあるはずのない音」というのは、それだけ犬にとって脅威であるということを覚えておいてください。
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こうした音に興奮して吠えるのを辞めさせるには、お気に入りのおやつやおもちゃに目がない犬であれば、それを与えてみることです。
その程度では釣られないという犬の場合は、散歩に連れ出してしまうことです。
散歩に連れ出すと大抵はやみます。散歩の方が断然楽しいからです。(始めのうちは、散歩に連れ出しても吠えていることがありますが、音から離れていけばすぐにおさまります)
「でも、吠える度にそうして散歩していたら、ますます味をしめて、吠えるようになるんじゃない?」という心配をする方もいるかも知れません。
これも一理ありますが、上に書いたように、どの道犬の本能で、ああした音に対しては吠えてしまうのです。
なので、別におやつ目当てや散歩目当てで吠えるわけではありませんし、他にいい解決策がない以上、これがベストの選択肢と言えるでしょう。
しつけ次第で改善できるもの ~よその犬に吠える~
しつけで改善できる例は沢山ありますが、まずは「よその犬に対して吠える」というものです。
これは犬の「社会化」の訓練をすることで治ります。犬の社会化というのは「他の犬や人間に慣れる」というものです。仔犬のうちに無理にする必要はありません。
徐々にステップを踏んで慣らしていくことが大切です。
例えば散歩で言うなら、最初はほとんど他の犬と出会わない時間帯に歩きます。
そして、同じコースを歩きながら、徐々に他の犬とすれ違う時間帯にずらしていきます。
最初に出会わない時間帯に歩くことで、まずは「散歩コース」に慣れさせておきます。
そうして、そのコースに対して一切緊張感がない状態にしてから、徐々に他の犬と出会うようにすることで、その緊張感を出来るだけ小さくすることが出来るのです。
(「困難は分割せよ」という格言が人間の世界にもありますが、犬のしつけの場合も、犬にとっての「困難」を分割して、一つ一つクリアさせていくのが大事です)
参考記事:散歩中、犬がほかの犬に吠えかかる!どうしつけたらいいの?
しつけ次第で改善できるもの ~人間に吠える~
これも徐々に人間に慣らす方法をとります。まずは友人などに協力してもらいます。
そして、家を訪問してもらったり、散歩中に偶然を装って出会ってもらったりします。
この時、以下のようなステップで犬に慣れさせていきます。
・最初は犬を無視する。体もそむけるし、視線もやらない。声もかけない。
・次の回は、犬を無視しながら、エサだけ地面に放る。これを何度か繰り返す。
・エサを徐々に自分の方に近づけながら、犬が向こうから距離を縮めるようにする。
・たまに犬の方を見たり、声をかけたりする。
・犬に触る。
というステップです。
「犬を無視する」というのに驚く方も多いのですが、実は犬にとって、見知らぬ他人が「自分の方を向く」「声をかけてくる」「近づいてくる」というのは威嚇と同じなのです。
いずれも「攻撃しようと思えばいつでも出来る態勢」なわけだから、それは自然です。
なので、多くの方がコミュニケーションだと思ってやっているこういう行動が、実は犬を興奮させているわけです。
なので、上のように最初は無視をして、徐々に慣らしていく必要があります。
こういうステップを踏んで「人間は安心できる存在だ」と思うと、犬は他人を見てもあまり吠えなくなります(もちろん、不審者など吠えるべき人間に対しては吠えてくれます)。
このように、犬が興奮して吠えるケースは様々ですが、それぞれに適したしつけや対応をすることで、問題は回避できます。
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