犬のボディランゲージ「カーミングシグナル」
犬のボディランゲージには「カーミングシグナル」というものがあります。
これは、自分や周囲を落ち着かせるために犬がとる行動のことで、噛み付きの前兆としても見せることがあります。
こうしたシグナルを知っていると、犬の精神状態を把握しやすいので、ここではそうしたカーミングシグナルを紹介します。
不安を伝えるシグナル
まず、犬の可愛い動作として知られている「首をかく」。
これはかゆいのではなく、気持ちをほぐそうとしているのです。緊張して体がこわばった時、人間も無意識のうちに肩を回したりしますがそれと同じです。
犬の場合は、首をかく以外にも、体をブルブルと振ることによって、こうした緊張による肉体のこわばりを解消しようとします。
実はあの体をブルブル振っているのは、水に濡れた時や、寒がっている時だけではなく、このように全身の緊張をほぐそうとしている動作でもあったわけです。
さらに「においを嗅ぐ」というのも不安な時に犬がよくとる行動の一つです。
これは、匂いで情報を集めるとか、相手のことをチェックしているというのではありません。
いつもの慣れている行動、無意識にしたくなる行動をすることによって、自分を落ち着かせようとしているのです。
これは例えば、喫煙者の人がストレスを感じた時に喫煙するのと同じです。
いつも慣れている行動、没頭して他のことを忘れられる行動をすることによって、ストレスから見を守ろうとしているわけです。
他には、鼻を舐めるというものもあります。これはまるでお腹が減っているかのようですが、実は緊張している時のシグナルです。
緊張すると鼻の頭が乾燥するからということがよく言われていますが、それより大きいのは、鼻を湿らせることによって、フェロモンの情報を読み取りやすくなるから、であると言われてます。
敵意がないことを示す
カーミングシグナルには「敵意がない」ということを示すものもあります。
例えば、「カーブを描いて歩く」というものです。犬の世界には「直線で相手に近づく=攻撃態勢」という常識があります。
なので、カーブを描いて歩いている時点で、攻撃する意志がないことを示しているのです。
これを逆に考えると、人間がいかに日頃犬に対して直線で近づいているかということに気づくでしょう。
「あら、かわいいワンちゃんねー」と言いながら、知らない女性が直線で近づいてきてしかも頭を触るという行為は、犬にとっては攻撃以外の何者でもないわけです。
なので、このような時に犬が噛み付きをしてしまうのは、ある意味仕方のないことなのです。
もちろん、仕方がないでは済まされないので、しつけが必要なのですが。
他の行動としては「顔をそむける」というものもあります。
これは人間の世界では敵対の意思表示ですが、犬の世界では逆です。
犬の世界では、顔を合わせることこそケンカを売るサインなのです。
攻撃する時には、犬は相手をよく見るからです。
これも上に書いた取り、人間がついついやってしまう「顔を見ながらかわいがる」というのが、犬にとって攻撃行動であるということの理由でもあります。(このように、人間が良かれと思ってやっていることが犬にとっては攻撃にすぎないということはよくあります。
くれぐれもこうした間違いをしないように、犬の本能についてよく勉強をしておきましょう)
また、「排泄をする」というものもあります。これは緊張が高まると排泄をしたくなるという習性で、人間にも見られるものです。
これ自体は敵意がないことを示すというより、不安を示すボディランゲージですが、それをあえて相手に見せているということは、やはり敵対心がないことを示しているということが出来るでしょう。