犬の不戦の意思表示「カーミングシグナル」
犬のボディランゲージには、争いを避けるための「カーミングシグナル」というものがあります。
前回記事でも紹介しましたが、まだ他にもこのカーミングシグナルは沢山あるため、引き続き紹介します。
敵意がないことを示すシグナル
・ゆっくり動く
ゆっくり動く動作は、相手を攻撃するつもりがないことを示します。
犬は元々目の前で早く動く物体に対して反応する性質があるため、そうした部分を刺激しないようにゆっくり動くわけです。
また、ゆっくり動いている状態から素早く攻撃に転じるというのは、太極拳などの人間の格闘技でなければ難しい技なので、犬には基本出来ません。
なので「ゆっっくりの動作=この後攻撃を仕掛けることが難しい」ということを示しており、これも攻撃の意志がないことを示すのに有効であるわけです。
人間でも、人を刺激しないようにゆっくり動くということは多々あります。
例えば喫茶店にいる時、隣の人がかばんの中を探ったりする動作がいちいちちょこまかとしていたら、こちらも落ち着かないでしょう。
周囲の人を刺激しないためには、全ての動作をゆっくりする必要があります。
やはり人間でも、自分の周辺で素早く動くものに対する本能的な警戒心が眠っているのです。
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・体を伸ばす
頭を下げて、姿勢を低くしてひれ伏すような格好をします。
これは敵意がないというより屈服するのに近い意思表示をしています。
ただ、犬の場合完全な屈服はお腹を見せることなので、まだ完全な屈服にはなっていません。
あくまで敵意がないことを示すポーズです。
相手を落ち着かせる
・あくびをする
実は、犬も眠くないのにあくびをすることがあります。
これは人間でもやることがあるでしょう。
何となく場が緊張して持たない時など、何も緊張していないよ、ということをアピールするためにあくびするフリをすることがあります。
こうした演技を犬もするというのは少し驚きですね。ただ、状況によってはもちろん眠いだけということもあります。
・間に割って入る
特に人間同士がケンカをしている時など、犬が間に割って入ることがあります。
これはそのままケンカの仲裁です。人間でもケンカの仲裁をする時にはこうして間に割って入るものですが、それと全く同じことを犬もやるというのが面白いですね。
もちろん人間を見て覚えたわけではなく、元々犬に備わっている本能です。
こうした動物の種類を超えた共通点を見つけると、人間の哲学のヒントにもなりそうです。
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・体をそむける
これは一見相手を嫌っているようですが、実は犬の世界ではこれは嫌っているサインにはなりません。
相手を落ち着かせる効果があります。
犬の世界では、相手の方をまっすぐ見据えることこそ、攻撃のサインなのです。
まっすぐ見ていればいつでも相手を攻撃できるし、相手からの攻撃に対しても防御をすることが出来るからです。
体をそむけているということは、自分から攻撃できない上に、相手からの攻撃もすぐには見えず反応できないということで、「君が攻撃してこないと信じている」という無言の意思表示でもあるのです。
犬のボディランゲージの面白さ
このように犬のボディランゲージを見ていると、非常に人間とよく似ていて面白いと思います。
上のものにもう一つ追加すると、興奮している相手をなだめるときに「ふせ」のポーズを取ることもあります。
これもやはり、すぐには攻撃できない&反撃できない態勢を取ることで、相手を攻撃する意志がないことを示すわけです。
こうした「○○できることを示す」「できないことを示す」というポーズが意思表示になることは人間の世界でも同じですが、それが犬の世界でもこれだけ豊富なバリエーションを持っていることは非常に興味深く、人間同士のコミュニケーションのヒントともなりそうです。
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