犬の噛み付き癖を治す「マネジメント」
犬の噛み癖を治すためには「マネジメントが必要」と、犬のしつけの専門家は口を揃えていいます。
叱るとか褒めるではなく、マネジメント、つまり管理するということです。ここでは具体的に何をどのように管理するのかを解説します。
そもそも噛み付く状況を作らない
このマネジメントは「犬が、どのような状況で噛み付くのか」を把握するところから始まります。
いつ、どこで、誰と遭遇した時に噛み付くのか。あるいは何を守ろうとした時に噛み付くのか、というようなことを事細かにチェックします。
噛み付く前の動作(うなる、全身を硬直させる)などのボディランゲージにも注目し「前兆」も探ります。
こうした犬の噛み付きに関する全ての情報を日頃から収集してまとめる、これがマネジメントの第一歩です。
このまとめによって「犬がどのような状況で噛み付くか」がわかったら、今度はその状況を作らないようにします。
「噛み付く状況」のなくし方
例えば一番わかりやすいのは「服を着せようとすると噛む」というものです。
これは「服を着せない」ということにすればいいわけです。元々犬は服を着て歩く動物ではありませんから(というより全ての動物がそうですが)、服を着せるのに抵抗するのは自然ですし、服をなくしたところで何も問題はありません。これは一番わかりやすい例です。
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他には「ご飯中に体を触ると噛む」という場合があります。
ご飯中に触ると、「エサを奪おうとしている」と動物の本能で勘違いしてしまうわけです。
参考記事:食事中の犬の噛み付きグセを治すしつけ
これもやはり自然な本能です。なので、この場合は「ご飯中には体を触らないようにする」ということをすればいいわけです。
犬の本能を刺激するようなことを人間が勝手にしておいて、「噛み付いたから叱る」という行為の方が、むしろよほど理不尽であるということが、このケースを例にとった場合もわかるでしょう。
さらに室内犬の場合「ソファから下ろそうとすると噛む」というケースがあります。
これはソファを気に入っていて、そのお気に入りの場所を奪われることに腹を立てて噛むというものです。
この場合、最初からソファに座らせなければいいのです。
具体的にはソファをその部屋から撤去してしまう、ソファのある部屋に犬を入れない(フェンスをつける)などが挙げられます。
その他、「配達員の人などが訪れた時に噛む」という場合、玄関に犬が近寄れないように、フェンスをするというのが一番有効です。
配達員の方など、外部からの訪問者の場合、どうしても人によって雰囲気などが異なるため、どんなしつけをしていても「この人は悪人だ」と犬が感じたのであれば噛んでしまいます(実際に悪人であり、犬だけがそれを見抜けたということも考えられますが)。
なので、訪問者に対して確実に噛み付かないようにするためには、フェンスを張るということが唯一の作戦であるということが出来ます。
マネジメントをするメリット
このように犬をマネジメントするメリットですが、一番はやはり「飼い主と犬の信頼関係が損なわれない」ということです。
叱る方が確かに速く効果が出る場合もあります。
しかし、多くの場合は犬と飼い主の関係を壊してしまいます。
というのは、人間の世界の常識が通じない犬にとっては、人間にとって悪である行為も、悪であるとはわからないからです(そもそも、犬の世界で噛み付いて外敵を追い払うということは、褒められることはあっても、叱られるようなことではありません。必須の能力です)。
なので「いいことをしたのに、どうして叱られるのだろう」と犬はどうしても思ってしまいます。
ここに飼い主との心の溝が生じてしまうのです。
そのため、出来るだけ犬を叱ることは避けた方がいい、でも、悪いことをしたのに叱らないわけには行かない。
という矛盾の中で「そもそも悪いことをさせない」という「マネジメント」が重要になるわけです。
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