犬の噛み癖矯正トレーニングの間違い
犬の噛み癖を治すしつけの間違いについて前回記事でも書きましたが、他にも間違ったしつけがいくつかあるので、ここではそれらを紹介します。
犬にリードを引っ張らせてはいけない
この根拠も、前回記事の内容と同様に「リーダー論」から来ています。
「犬にリードを引っ張らせる」→「犬が自分がリーダーだと勘違いする」→「人間を噛むようになる」というものです。
これを信じている人はかなり多いのではないかと思います。
しかし、実際には「リードを引っ張った人=リーダー」と犬が思うことはないんですね。
こうしたことを主張する人々は、「オオカミの群れでは、リーダーが必ず先頭を歩く」ということを根拠にしているのですが、最近の研究では、オオカミにそのような習性はないということが定説になっています。
つまり、飼い主と犬のどっちが先を歩こうが、そんなことで犬は上下関係を決めたりしないということです。
では、なぜリードを引っ張るのかといったら、これは単純に早く進みたいからです。
「俺がリーダーだ」と主張するためではないのです。
なので、リードを引っ張るのをやめさせたいのであれば、ペースを守って歩いた時には褒めてあげてご褒美をあげるなど、その方が気持ちいいということを教えればいいのです。
そうすれば、先を急ぐよりもゆっくり歩いた方がいいことがある、と犬も学習し、リードを引っ張らなくなります。
スポンサーリンク
引っ張りっこ遊びは、人間が勝って終わらなければならない
引っ張りっこ遊びというのは、例えばタオルを犬がくわえていた時、その端っこを人間が持って引っ張り合うというものです。
こうした遊びをした時は、人間が必ず勝たなければいけない、という説が広く伝わっています。
理由はシンプルで「引っ張り合いに勝利した犬は、自分がリーダーだと勘違いする」というものです。
上のリードの話と同じですね。「とにかく、犬に自分がリーダーだと思わせるな」ということです。
しかし、ここでも繰り返し述べますが、犬はこのようなことでリーダーを決定したりはしません。
そもそも犬の世界にはオオカミの世界のような階級意識がありません。
飼い主との関係についても上下関係で見ているのではなく、「この人は、しつけに従ったらご褒美をくれる人かどうか」「ちゃんと自分のことを考えていてくれる人か」ということだけを見ているのです。
どちらが上か下かではなく、あくまで「信用できる人かどうか」を見ているのです。
なので、間違ったリーダー論によって「人間が上」と思わせたとしても、犬から信頼されていなければ、好かれていなければ意味はないのです。
大事なことは信頼関係を築くことです。
参考記事:犬の噛み癖を理解する ~噛むことは悪いことではない~
ちなみに、引っ張りっ子をしている時に、犬が物を手放さないのはなぜかというと、これは単純にそのアイテムを気に入っているからです。
子供がおもちゃを手放さないのと同じで、別に親より自分が上と思っているわけではないのです。
単純に、そのおもちゃが好きでそうしているだけなのです。
これを手放すことを教えるのは、噛み癖を治すしつけとはちがい、「ちょうだい」などのしつけになります。
つまり「手放すといいことがある」ということを教えるしつけになります。
犬のリーダー論の常識を捨てよう
このように噛み癖を治すしつけに関する間違いは全て「リーダー論」から始まっています。
犬がオオカミの世界と同じ階級意識で動くという常識、家族の中でも階級意識を持っているという常識、これらの間違った常識をまず一度捨てるようにしましょう。
そして、「この犬は、自分を飼い主より上に見ている」などと疑うのをやめて、「ただこのボールが気に入ってるだけなんだな」とか「早く前に行きたいだけなんだな」と、犬の本当の気持ちに気づいてあげましょう。噛み癖を治すのはそこからです。
スポンサーリンク